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にゅん。のにゅん。によるなにか。→衣谷の衣谷による何か。 小説の事とか、いつものこととか、コーヒーの事とか、うつ展開なこととか。
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 中学校は、あたいがいた小学校のほか、あわせて3つの小学校から生徒が集まっていた。単純計算であれば三倍の同年代が同じ場所に集まってくるわけだ。多くの人々にとっては、触れ合える人たちが三倍に増えるという計算だろうけれども、あたいにとっては、恐怖をもたらす人たちが三倍に増える計算になる。とはいえ、入ってみれば、三倍ではなくて、あたいが抱えていた恐怖がやや薄まったという意外な結果となった。
 理由は、あたいのことを何も知らない人が増えたことにあった。あたいのことを何も知らないということはあたいもまた相手のことを知らないし、なんの先入観もない。そういったニュートラルな思考で人と向き合える機会が、中学校に入って初めて得られたのである。
 中学では卓球をやった。おなじ小学校の連中もいたけれども、大半が別の学校の人たちで、なかなか居心地がよかった。レギュラーのポストを撮ったけれども、『人数合わせだ』と言われても平然としていられたのは、初心者だった自分が練習した結果だと信じられたからだし、そういう言葉を信じなかったからでもある。
 そう、言葉を信じない。小学校の暗黒時代があたいにもたらしたものの一つは言葉に対する不信だった。幾度となくあたいは言葉で騙されてきた。ルーペを盗まれたときもそう、拒めばいいのに言葉を拒まなかったことに起因する。そこからあたいは学んだわけだ、言葉は弱い。言葉は信用に値しない。
 でも、あたいは言葉に出会った。あたいが日常的に読書をする機会を得たのもまた中学校になってからだった。朝の15分読書という時間が設けられて、毎日本を読むことになったのである。いわゆる図鑑や百科事典の類は小学校のことから読んでいたと思うが、小説だとか、そういったフィクションを読むようになったのは、中学生からだったと思う。あたいのことをしらない登場人物が、本の中で大冒険をしている。危機的状況に陥っても諦めずに道を探し求めている。小説を読むという楽しさを、言葉の楽しさを知ったのである。
 そんなおり、親戚から古いパソコンを譲り受けた。ネット環境もない、古い、容量もない、そんなパソコンだったけれども、あたいにとっては時代の最先端に立ったような気分だった。幸いなことに、ワープロソフトがそのパソコンには入っていた。
 ここで物語を書くようになったのは、いわば必然だったのかもしれない。初めて書いた物語は、会話文だらけで、いまのあたいだったら2秒で棄ててしまうような作品だったけれども、本当に楽しかった。本を読まなければ広がらなかった世界が、今、自分で文字を綴ることによって広がっている。しかも、この世界でだれも知らない世界が! 夢中で書いて、誤字脱字の修正もしないで、続編を書いてみたり、というかそのシリーズしか書かなかった。

 暗黒時代に比べれば、だいぶ気持ちに余裕を持てた中学校の時代であったけれども、やはり、どこかに仕打ちをしてきた連中がいることを考えればどうしても気分がよくなれなかった。仕返しをしてやりたいと常日頃思っていたし、タチが悪いことに、一撃で相手をノックダウンできるようなものが欲しかった。だからボクシングとかそういうたぐいは選択肢にもならなかった。だれもが考えそうな手段だし、相手がしてきた暴力を以てして対抗するのは嫌だった。相手が絶対にできないことで、ポコポコに追い込みたかった。
 そのとき、あたいにできることは、小説とはとてもじゃないが言えない、言葉をもてあそぶことだけだった。でも、言葉をもてあそぶことも、高度になれば小説として読めるし、しかも相手はなしえないことでもあった。小説で相手を見返す、つまりこれは、あたいが作家として成功するという目標になった。名声を得て、(一般的によくある)知らない人までも、そしてその相手もが「あたいの友人」だと口にするときに、「その人たちは友人でも知人でもありません」と満面の笑みで答えてやればそれであたいの仕返しは成功である。

 中学校はあたいにとっては一種の兆しだった。同じ小学校の連中の密度が薄まれば気持ちに余裕ができるのを知って、また、創作のスタートラインにも立った。あたいはいよいよ、一歩を踏み出そうとしている。

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衣谷 創
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プログラマー見習い
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とりあえず、メンタルの波が激しい今日この頃。
小説を書いてます。素人ながら。
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