たまたま手に取った文芸雑誌に紹介されていて、ふと後ろを振り返ったら平積みされていたから衝動買いした小説『カッシアの物語』。
なんだか安っぽい印刷だなーなんておもってたけれども、内容は一級品。いわゆるディストピアもので、全てのことがらが数学的あるいは確率的な観点で確立されていて、それを役人が決めてゆくという社会に生きる少女のお話。
全てを役人の決定に任せるという完全に受動的な人々が暮らす中で異なる考えを得てゆくカッシアの姿には、ここ最近のスペキュレイティブフィクションの中ではかなり優秀な出来。やっぱりファンタジーやらSFには純文学に切りこめるだけの力があるんだろうなって思えた。
なんとなく思ったのが、人が考えるのを止めさせる非現実が「宗教」で、人が考えるのを深めさせるのが「思索小説」なのかな、ってこと。
これは気分的なところ。
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